りんごができるまで

▼炭の散布(2月)

りんご園の仕事は、冬の間に始まります。当園が飛騨りんご栽培地域の北限に位置するのは、標高の高さと雪が原因です。雪深い飛騨は、春の訪れが遅く、春先に作業が集中します。電子栽培の基本ツールの一つである炭を撒くことで、太陽光を吸収した炭が熱を持ち、雪を溶かします。地表に到達した炭は、動植物の働きにより、地中に入り、微生物の活動を促します。これにより、団粒構造が形成され、植物は根の張りが良くなります。冬の時期は、植物が活動する前の大事な仕込みの時期でもあります。

 

剪定・誘引作業(2~4月)

前年に伸びた枝を切り落とし、樹形を整えます。剪定は、管理作業の中で最も重要な作業の一つです。剪定の仕方によって、その年のりんごの出来や、木の伸び方に大きな差が出ます。りんごは、特に複雑で、熟練の技能を必要とします。

 

摘果作業(粗摘果、5月下旬~6月中旬)

りんごは、芽から5つの花が放射状にまとまって咲きます。花が咲いたりんごは、中心花(ちゅうしんか)と4つの側花(そっか)から成ります。花が散り、実ができてきた頃、摘果作業が始まります。基本的には、形がまとまりやすく、大きくなりやすい中心花を残して、側花を切りますが、霜などの影響で中心花がダメになった場合は、遅れて花が咲く側花を利用します。近年は、温暖化の影響で霜が当たりやすくなり、この側花を残す場合が増えています。

 

薬剤散布(生育期間中)

りんごは、果樹の中でも特にデリケートな植物かつ栽培作物であるため、一部の野生種を除き、薬剤散布は欠かせません。しかしながら、安全につながる食べ物を作ろうと、可能な限り農薬を減らす取り組みを行なっています。

・電子技法により、木を健康に育て、病気に対する抵抗性を高めています。

・ボルドーといったぶどう栽培でも使われる、安全性の高い薬剤散布(農薬カウントされないもの・昔から使われており、影響の明確なもの)も平行して行ない、可能な限りの減農薬栽培に努めています。

・木の様子をほぼ毎日見て回り、病気・虫害の兆候が見られたタイミングで、適切な散布を行い、余分な薬剤散布をしません。

 

▼葉摘み(8~10月)

葉摘は、りんごの実全体に光を当てて、色付きを良くし、糖度を高める作業です。葉は取りすぎても、光合成が阻害され、逆に味が悪くなるため、適度な葉摘みを行います。パートさんにも手伝ってもらい、1個1個のりんごに対して、丁寧に作業します。

 

▼玉まわし(9~11月)

これも葉摘みと同様、りんごに光を当てるための作業です。傷が付かないよう、りんごを手で回し、葉や枝の影になっていたり、日光の当たっていない面にも光を当てます。これにより、果実全体に色が付き、ムラのない真っ赤なりんごが出来上がります。

 

▼収穫(9~12月上旬)

いよいよ待ちに待った収穫です。色付きの良いりんごから、収穫し始め、今年の出来と収穫量(大雑把な量)を確かめます。全体の様子を見ながら、品種ごとにまとめて収穫していきます。りんご農家として、一番嬉しいと同時に、忙しい時期でもあります。

 

▼仕分け(9~12月)

収穫したりんごをサイズ(玉数)・品質(秀品・優品など)ごとに仕分けして、お送りできる箱数を決定します。この時点で、ようやくお客様からの注文をお受けすることができます。品種ごとの特徴や注文開始時期は、電子栽培 飛騨りんごのページにてお確かめください。